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LLC(ロングライフクーラント)は定期交換が必要

今回は、お友達のkazukazuさんとプチ整備オフ。kazukazuさんの前期型のシャモニーのLLC(ロングライフクーラント)交換です。

 

LLCは、ラジエターの冷却水として使われていますが、最近の車では、交換サイクルを大幅に伸ばして超寿命化させた、超ロングライフクーラントを採用していますので、定期交換が必要な箇所なのですが、ついつい後回しにされてしまうことの多い整備箇所です。

しかし、いくら長寿命といっても、次第に防錆剤や、消泡剤の効能が弱くなり、気がついたら、ラジエターが錆で詰まってしまったとか、錆びて穴があき、冷却水が漏れはじめるなどというトラブルにならないとも限りません。

 

やはり、必要に応じて、定期的に交換したいものですが、ラジエターのドレンを払っても、全量抜くことができませんので、素人にはちょっと厄介な部分です。

 

こまめに定期交換される場合は、ラジエターのドレンから排出できる分だけを入れ替えて使用する方法でもいいと思いますが、10年超の古い車で、今までこまめなメンテナンスをしていなかった場合などは、思い切って、冷却系全体の洗浄を行い、内部の古い冷却水をすべてきれいに洗い流してしまう方法をお奨めします。

 

ここでは、エンジン側のドレンも払って、冷却水の内部経路清水で洗い流す、フルコースのLLC交換の手順を紹介します。

整備書の手順とは少し違いますが、おおよそ正規の手順に準じています。

 

 

<用意したもの>

 

2800ディーゼル、デュアルヒーター車で、冷却水の総量は11リットルとなっています。

 

※平成7年式のシャモニーは、寒冷地仕様車ですが、容量アップヒーターは採用しているものの、冷却水の総量は、ノーマル車と同様に、11リットルとなっています。

 

温暖な静岡県では、冷却水が凍る心配はありませんが、せっかくの4WD車ですから、冬にはスキー&スノボに出かけたいもの。ということで、−20℃でも安全な程度(40%前後)に濃度を調整します。

 

LLCは濃度93%のものを3本用意しました。(2リットルで約450円×3本) 

※使用量は5リットル。

 

<準備>


◆走行直後は高温で危険なので、しばらく冷ましてから、作業開始します。
◆オイル交換と同様、アンダーガードを外しておきます。(工具:+ドライバーと、12・14ミリのソケット又はめがね)

(前期型シャモニーに標準装備のスキッドプレートを外すためには、13・17ミリのソケット又はめがねレンチが必要です。※+ドライバーは必要なし)

 

<冷却水の抜き取り>

 

(1)冷却水の温度がある程度冷めている状態で、ラジエターキャップを外します。

このとき、火傷防止のために、ウエスなどで手を保護してください。

 

(2)ラジエターのドレーンプラグをはずし、ラジエター内の冷却水を抜き取ります。
ラジエターの右端(運転席側)から、ロアホースが出ていますが、その付近に、プラスチックの蝶ねじみたいのがあります。素手で緩まないときは、プライヤーなどで廻します。

 

※完全に外さないように。緩めるだけでOKです。プラグを外してしまうと、勢いよく飛散します!

※ラジエター本体から抜けるLLCは5〜6リットル。大き目のバケツか、たらいで受けましょう。かなり広範囲に飛散します。

 

 

(3)タービン後部にある、シリンダーブロックのドレーンプラグをはずし、ウオータージャケット内の冷却水を抜き取ります。緩めるだけではなかなか抜けません。

約3〜4リットルのLLCが排出されます。かなり広範囲に飛散しますから、必ず逃げる体勢で作業します。

(場所がわかりにくいとか、手が入らないなどの作業困難な場所ですから、ここは省略しても構いません!!)

 

 

(4)冷却水が抜けたら、ラジエター・エンジン側ともにドレーンプラグを閉めた後、コンデンスタンクに水道水のホースを入れ、少しずつ水を補給します。


※本来は、ラジエター側のアッパーホースをはずし、フィッティング部より水道水をホースで注入し、冷却水の通路を洗浄するのですが、インタークーラーが邪魔だし、アッパーホースを引き抜くのが面倒なので、コンデンスタンクにいきなりホースを入れました。あまり勢いよく水を出さないように。


(5)エンジンを始動させ、前後ともヒーターを全開にして冷却水を循環させます。


(6)水温計の針が上昇し始めたら、ラジエター側のドレーンプラグを緩め、水を排出しながら、コンデンスタンクにはホースで水を補給し続けます。水を流すことで、冷却水経路を洗浄します。

ラジエター側のドレーンから排出される水が、無色透明になったらエンジンを停止。


(7)ホースの水を止め、ドレーンプラグから排出できるだけ水を抜き取る。(エンジン側も抜くとよい)


(8)排出が終わったら、ドレーンプラグを確実に締め付けます。

ラジエター側のプラグにはシールテープを巻きました。 

エンジン側のドレーンプラグには、銅ワッシャーのようなドレーンパッキンが使われています。できれば新品のパッキンに交換したいものです。(日産の小型車用のエンジンオイルのドレーンパッキンが同サイズです)


(9)コンデンスタンクより冷却水の原液(93%)をゆっくりと注入する。最初は、2リットルの容器2本くらい入ります。

 

 

(10)再びエンジンを始動してエアー抜きをします。エアーを噛んでいると、泡が出てくることもあります。

 

セパレーターボックスのプラグ(バッテリーの奥側上のほうに空調の吸気口がありますが、その左側にプラスチックの六角ねじがあります。12ミリ)、ラジエターキャップをはずした状態で、エンジンをアイドリングします。(前後のヒーターは全開にしておく)

 

エアーが抜けてくると、コンデンスタンクの液面が低下しますから、LLCを補給します。規定量のLLCを入れて後、更に補水が必要な場合は、水道水を補給します。

水温計の針が上昇し始めてから、10分くらい経ったらエンジンを停止。


(11)エアー抜きが終わったら、セパレーターボックスのプラグ締め付けます。この部分も、樹脂のネジですから、無理に締めすぎないように。シールテープを巻いてから軽く締めるといいです。


(12)足りない場合は、水道水をコンデンスタンクのFULLラインまで入れます。

 

(13)ラジエターキャップを確実に締め付けます。


(14)アンダーガードを元通りに取り付けて、終了。

 

               冷却水のエアー抜き

 

 

※整備書の図解です。(この画像はクリックすると大きく表示されます)

 

<補足説明>

 

エンジン側のドレーンプラグは非常にわかりづらい位置にありますし、作業しづらいので、省略しても構わないです。この場合、ラジエター側のドレーンから排出できる量は、5〜6リットル程度。冷却水の総量のおよそ半分くらいです。(エンジン側も排出した場合は全体で8〜9リットル抜くことができる)

市販のLLCは、50から80%くらいの濃度のものが売られています。冷却水の全量を抜くことができないために、水で洗浄した場合は、中に真水が残ってしまうため、濃い原液を入れて、濃度を調整するという方法をとります。

今回は、エンジン側のドレーンプラグも排出しましたが、うまく緩めることができない場合を想定して、93%のLLCを用意しました。万が一、5リットルしか抜けない場合は、80%のLLCでは、目標の濃度に達しないからです。

今回は、93%のLLCを5リットル使用しました。計算上、濃度は43%くらいになります。マイナス23度くらいまでOK。

 

※LLC(ロングライフクーラント)の主成分である、エチレングリコールは、特定化学物質に指定されているので、廃棄には注意が必要です。ラジエターから抜いた廃液は、自動車整備工場などに相談して、引き取ってもらうようにしましょう。

 

※DIYで作業を行う場合は、自己責任でお願いします。

 

 

 

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